前に米国仕様のリアのサイドマーカーを外した時のパネル処理が悪かったので、やり直しを計画。でも、よくよく見たら、あちこち膨れがあります。
固いので大丈夫と思っていたのですが・・・・汗
ポチっとした膨れ
前々から気になっていました。直径1㎝程度の膨れ。
この車、再塗装した跡があるので、てっきり塗装時のタレ的なものと思っていました。触っても固いし。(錆なら、サクサクしている。)
場所的にはリアフードの左側。ウィンカーのちょっと上の部分です。
今回、その横を塗りなおすので、ついでにちょっとドレメルツールで削ってみました。そしたら・・・
なんとここまで削ることに。
どうも見てみると、もともとさびていたのを補修した感じです。
なんでそう思ったかというと、パテ埋めが非常に厚く、さらに削ったところがデコボコしていたからです。
全部削り出し、錆転換剤を塗っておきました。
ここまでデコボコだと普通のパテでは難しいと感じ、メタル系の接着剤 ジーナスGM-8830を使います。これお高いのですが、強力です。溶接並みの接着力あります。また、磨くと金属的に。
塗装用品購入
今回、きちんとした塗装を考えます。なので、ちゃんとした道具をそろえます。
スプレーガンですが、やはりというか安物だと結構大変のようです。飛び散ったり、粒子が安定しなかったりと。
というわけで、今回購入したのは明治機械製作所のファイナーフォースです。
これお高いのですが、評判はめちゃくちゃ良いです。低圧でもきれいに吹けるそうです。なので塗装の無駄が少ない。ベースカラー用とクリアー用の2種類購入。
あわせてレギュレータや塗装用の測りなども買いました。測りはオートオフを解除できるものでないとだめです。理由は塗料を配合している最中にオフになっちゃうと困るからです。
塗料購入
塗料ですが、昔であれば焼き付け塗装だったのですが、今はほとんどウレタンみたいですね。
悩むのが1液か2液か。
1液は硬化剤を混ぜる必要がないので、準備は楽ですが、反面、塗料を長期保存できません。3か月~半年もすればダメになるそうな。これは、1液と言いながらも硬化剤が中に入っているからだそうです。また、1液のみでは完全硬化しないので、2液クリアーを吹くのが前提だそうです。
2液性は保管性は1液より良い(でも長くて1年くらい?)のですが、塗装時に混合するのが面倒。また、保管性が良くとも硬化剤が固まってしまうこともあるそうです。
1液は確かに保管性悪いのですが、保管時に上に薄くシンナー層を作ると保管性が良くなるそうです。早い話、空気中の水分と反応して硬化してしまうそうな。なので、空気に触れなければ硬化は遅いということです。
また、最終的に塗面はクリアーで決まります。なので、ベースカラーが少々いい加減でもクリアーで塗面を整えればきれい仕上がるらしい。というわけで、今回1液ベース+2液性クリアーという選択となりました。
塗料はカンペのハイブリッドエコ(1液)とクリアーはRR510(2液)を使います。RR510は磨くのを前提としたクリアーのようです。(RR210はそのままでもきれいとのこと。)
とにかく最近は塗料の種類が多く、何がなんだかわかりません。調べながらの作業です。
今回色調整してません。308の黒はなんとマツダの黒で合わせられます。塗り重ねても区別がつかないほど似てます。
パテ
パテですが、いろいろ試したところ極#180が最適に思えます。普通のカー用品売り場にあるパテはいまいち。極#180だと、
- 3mmまで盛れる。
- 30分程度で削れる。(これ、作業効率を考えると大きいです。)
- ヒケがほとんどない。
デメリットとしては、5分以上経つと固まり始めてしまいます。なので、のんびりやっていると、どんどん固まる。広範囲やるのであれば少量ずつ進めた方が良いでしょうね。
なので、毎回軽量することになるので、精密なスケールが必要です。
これ、PROSTというショップであれば小分け販売してくれます。
パテ盛り
さて、作業に戻ります。
米粒くらいのちょこっとした膨れも、削ると・・・
ここまで行っちゃいます。
パテ盛りして削ってます。黒く見えるところは薄付けパテ。
1回目のパテだけだと、どうしても気泡が入ったりしますので、薄付けで修正。
こちらもジーナスで固めてから、
パテ盛りして・・・(少々汚いですが 汗)
整形していきます。
パテの場合、空研ぎが原則です。理由は水研ぎすると水分がパテにしみこんでしまうからです。
プラサフ
パテ盛りしたところにはプラサフかけないとだめです。
プラサフですが、スプレーガンでやるのも面倒だったので、缶スプレーでやっちゃいました。どうせ削るし(苦笑)缶スプレーの方が長持ちします。
余計なところに掛けたくないので、いろいろと工夫してマスキング。まぁ、水研ぎしますので、適当で良いかと。ただ、結構飛び散るんですね。広範囲にカバーした方が安全です。
一番のポイントはマスキングした境界部分かと。ここが直線になっていると、ほぼ間違いなく塗るとそこの境界がわかってしまいます。ここをいかにぼかすかがポイント。手で触っても全く感じないくらいまで仕上げます。
塗装作業
一見うまく行ったようにも見えますが、実は失敗です。クリアーのぼかしに失敗しています。
磨くと、そのクリア層と元の塗装の境界がわかってしまいます。やり直しです・・・(汗)
失敗の原因
この原因はいくつかあります。
- 足付け不足。ベースカラーを塗っていなかったところの足付け不足。なので、クリアが剥離。
- ぼかす位置が間違っている。⇒なるべく狭いところでぼかす。なので、このリアの場合は、ドアのところまで塗り、ぼかし部分はリアのピラー部分ということになります。
- ぼかしがうまく行ってない。ぼかし剤やシンナーとかで薄めてぼかしていく必要がある。
クリアとの段差が結構出てしまいました。なので、スプレー型パテなどで再度下地作りとなります。
クリアー境界処理方法
一面塗るのが理想ですが、どうしても途中でやめたいケースあります。塗料も無駄だし(汗)。クリアの境界処理方法には2種類あるようです。「切る」か「ぼかす」か。
「切る」というのは、ボディのエッジ部分で切る方法。プレスで角ばっているところですね。これはダブルテープ(マスキングの1/5ほどを折り返したもの)でマスキングします。この方法であれば、塗ったときエッジがあいまいになるのでぼかしたような効果になります。仕上げは軽く水研ぎ、コンパウンド。ぼかす方向に磨きます。
ぼかしは、ぼかし剤やシンナーで薄めたものを使い、徐々にぼかす方法。
今回は、エアインテーク部分にはダブルテープで切り、ピラー部分ではぼかし剤を使うことにしました。
正しい?塗装方法
やり直しになったわけですが、忘れないようにちょっと整理して書いておきます。
- 下地はしっかり出す。#240くらいで荒らしておく。
- パテは硬化が早いので、手早く。広範囲でやるなら分けて作業した方が良い。
- パテ埋め作業は削った後でさらに薄付けパテを塗った方が良い。やはり気泡が入ることが多い。多少の削り後はプラサフでも消える。(削るのは空研ぎ)
- #240程度で削り始め、#600くらいまでで平滑化。デコボコは粗目で押し付けずに削った方が平滑化しやすい。
- プラサフのマスキングは適当でOK。ダブルテープなどしなくても良い。(水研ぎでぼかす。)
- プラサフで水研ぎした後で、表面を再度確認。巣穴や削り筋などは本塗りした後で絶対に出てきます。塗装は下地がすべて。ちょっとした巣穴であれば、プラサフを爪楊枝とかで塗り足し、削ればOK。(ここで再度パテ埋めするとさらにプラサフかけなければならなくなるので・・・)
- ベースカラーを塗るところは#600くらいで足付けをしっかりする。
- クリアを塗る部分は、広めに。ドアとかパネルの切れ目であれば問題なし。どうしてもぼかしたければ、エッジか狭いところを選ぶ。
- ベースカラーを塗らないところでクリアを吹くところにもしっかり足付けする。しかし、こちらは下手に削ると見えてしまうので、#1000程度か?
- ちなみにクリアかけてきれいに仕上がるかどうかは水をかけてみればわかる。水をかけて磨き跡が見えなくなる=鏡面に見えるのであれば、クリアで仕上げられる。(遅乾性のシリコンオフでもわかる。)
- マスキングはしっかり行う。意外とミストは飛ぶ。(飛んでもコンパウンドで修正効くが、仕事が増える。)
- 塗る前に、ほこりをできるだけ防ぐために、床に水を撒く。
- スプレーガンの圧力は0.2MPa。パターンは最大、流量は2回転くらいの位置。
- 脱脂する。速乾性の脱脂剤の方が塗る前には良いかも。また、塗る前にタッククロスでごみを取り除く。(複数回吹く場合も、指触乾燥後タッククロスでごみをとる。)
- 塗装最初に捨て吹き。さっと薄く吹く。これは、後の塗装の付きをよくするための作業。
- 次に吹く前に指触乾燥させる。まぁ、数分で乾くようだが。
- ベースカラーの塗りはいい加減でもまだ大丈夫。ツヤがでるかどうかはクリア塗装次第。
- クリア塗装では、塗面をしっかり見ながら塗る。なので、きちんと明るくないと見えない。
- 塗面が濡れた感じになるような塗り方。(やりすぎると垂れるので注意。まぁ、垂れても補修できるけど、仕事が増える。)
- 残ったクリアに半分量のぼかし剤を混ぜ、ぼかし塗装を行う。
308は厄介な車です。フェンダーの切れ目がないんですね。なので、ここまでクリア吹くことにしました。変にぼかそうとして失敗、やり直しも嫌なので(汗)
クリアはこの部分でぼかします。
紙を浮かして貼っているのは、ぼかすため。一度塗ってこの紙を取り除き、ぼかし剤を入れて、さらにぼかしていきます。この写真ではまだやっていませんが、右側のインテークのえぐれ部分のエッジでクリアを切っています。理由は、この中まで塗ろうとすると、結構大変そうだったので。(ダブルテープで切りました。)
クリア塗装の回数ですが、磨きをしっかりやるのであれば、4回ほどは必要だと思います。
ぼかしは残ったクリア塗料の半分ぼかし剤を入れて、吹いていきます。どんどんぼかし剤をいれていけば、さらに良いかと。
磨き作業
クリアを注意して塗っても、結構ざらつき出たりします。まぁ、へたくそだから仕方ないですが(汗)また、注意しても結構ゴミ(ブツ)が乗ります。クリーンルーム的な塗装ブースがあればよいのでしょうが、さすがにそれは無理。
なので、ゴミとり、研磨が必要です。
これ、名前不明。「ブツ取り」?エッジが刃物のようにとがってます。これを滑らせながら、ゴミを削り取ります。
トレカット。トレブロックに貼り付けて使います。#1500くらいだったかな。黒い奴ですね。ブツ取りした後、これで削ります。手で触ってわからないくらいまで削ります。
トレックス。これも#1500くらい。空研ぎです。これで、塗面を整えます。
この辺は定番なんでしょうね。グリーン⇒ブラックの順に水研ぎ。
作業中。こんなに白くなっちゃいます。大丈夫か???
この後、コンパウンド磨きです。中⇒微粒子⇒鏡面仕上げへと。。。
ポリッシング中。
こちらはまだ塗面が荒れていたので、再度削りなおして仕上げます。。
まぁ、かなりきれいになったかと。
錆をとってデコボコになっていた部分ですが、わからないくらいになりました。
この部分、さびやすいんですよね。水がたまりやすいところ。要注意と思います。
エンブレムの補修(番外編)
リア一面を塗ることにしてしまったので、リアのエンブレムを外しました。
結構汚いし、色も剥げているので、補修します。
多少、はっきりしたかと。
取り付けたところ。かなりすっきりした感じがします。
感想
塗装は結構難しいですね。まぁ、ある程度回数を重ねないとうまくならないかな?
いずれにしろ、作業場所は重要です。埃が多ければ多いほど、後の作業が増えます。
塗装ブース欲しいところですが、まず無理ですね(汗)
まだまだツヤ不足のところありますが、少しずつ直していこうと思います。
308は造形が複雑ですね。特にリア周りはものすごいです。塗りにくいし、磨きにくい。
錆は要注意です。今回補修したところはどうしても水がたまりやすいところ。最近の車ではこんな造形は無いですが、この車の特殊性ですね。
また、ボディの継ぎ目が少ないので、塗装の見切りが難しいです。ぼかしを避けるとどうしても広範囲になっちゃいます。
前回までは普通のアクリルペイントで補修。本来であれば全部はがすのがベターです。というのは、ウレタン塗料に入れたシンナーとかでアクリルペイントが溶け出すから。ウレタンは硬化剤で固くなっているので薬品には強いのですが、普通の缶ペイントは溶けちゃうんですね。縮みになっちゃうわけです。これ、結構厄介で、塗った直後には表れない。でも、時間が経つと出始める。要は溶け出すということですね。
これを防ぐ方法はベースカラーのペイント時に薄く塗っていくやり方です。下にしみこまないように軽ーく吹いて色を載せていきます。ベースカラーの仕上がりがザラザラでもクリアの塗面をきれいにすれば鏡面になります。要は下地を溶かさないように塗り重ねるという感じですね。まぁ、正しくは「全部はがす」なので、手抜き方法です(汗)
下地処理もそうですが、足付けは重要ですね。塗料がしっかりつくかどうかはこれで決まります。クリア面だけ吹くところにも足付けするとは知らなかった。。。(まぁ、考えてみれば当たり前ですが・・・)#1000~#1500くらいでやれば大丈夫です。(水をかけたり、シリコンオフ塗ったりして鏡面が見えれば問題ないです。)
鏡面仕上げのためには、クリア層を厚めにします。4回ほど吹く必要があるかと。その後、「ブツ取り」⇒トレカットで平滑化⇒#1500空研ぎ⇒#2000水研ぎ⇒#3000水研ぎ⇒中粒子コンパウンド⇒微粒子コンパウンド⇒鏡面コンパウンド
手作業では無理ですね。
コンパウンド処理もスポンジ使うかバフ使うかは考えどころです。
あと重要なのが「気温」。20度下回ると乾かない。逆に温度が高すぎると、早く乾いてしまう。この場合は、シンナーの量を多めにするなどして対処が必要となります。早く乾いてしまうと、ザラツキの原因になります。
はじめまして、広島の加藤と申します。大変興味深く拝見しております、私の308も塗装シワが入っているのでですが全塗装の見積りが高額で苦労しております。
加藤さん、コメントありがとうございます。
まぁ、塗装は奥深いです。一応仕上がってはいますが、やった本人は気に入らず 苦笑