デスビのオーバーホール

進角を正確に設定したいので、上死点の再確認とデスビ遠心装置のクリーニングなどを行うことにしました。

上死点の確認

まず、すべての基準となる上死点を再確認することから始めます。
やるからには最初からきちんとやる必要あるからです。これがずれていては話になりませんので(汗)

Ferrari 308 デスビオーバーホール

まずは、ここのクリーニングから。マーキングするので、油汚れなどをきれいにしておきます。(ちなみに、このマークのある場所は、オイルフィルターの下部分です。)

Ferrari 308 デスビオーバーホール

通常は上の写真のようにフライホイールの刻印で確認するのですが、念のため上死点を正確に測ります。
今回は、このようなプラグホールに固定するタイプを使ってみました。これなら、ずれる心配ないですし。

このメータを見ながらクランクシャフトを回していきます。

Ferrari 308 デスビオーバーホール

この分度器で正確に測るわけですが、メータを見ながら回すのは困難。
てなわけで、内視鏡カメラをメータに向け、その画像をWiFiでスマホに飛ばし、その画像を見ながら回しました。これなら、手伝いを使わずに正確にわかります。

最大に振れるところを最初に求め、もう一度回転するときに、1メモリ前と1メモリ後を記録します。その間が上死点になります。

何回か計測しましたが、今のフライホイールの刻印が正しいことを確認できました。
また、カムの方の刻印も確認し、カムの位置も正しいことを確認。

進角のマーキング

今後の点火タイミングのチェックのため進角を計測し、マークしておきます。

通常は6度なのですが、今回は7度、10度、16度、34度にマークしておきました。

Ferrari 308 デスビオーバーホール

一番右が上死点、左に向かって、7度、10度、16度です。

アイドリング時で6度が規定値。ですが、FerrariChatなどでは7度が良いとの情報あります。他には10度と言う説も。なので、複数マークしておきます。(どうも一番大事なのは、5000rpm当たりの34度だそうですが。34度はここでは見えません。)
色分けしておいて、タイミングガンで見るときにわかるようにしておきます。

このマーキング作業ですが、イグニッションコイルが邪魔です。
なので、少し後ろに下げてあります。

デスビを外す

次にデスビを外すのですが、このローター位置がずれないようにする必要があります。

Ferrari 308 デスビオーバーホール

まず、緑丸の部分(実際には3か所)を緩め、デスビを動くようにして様子を見ます。
ここを緩めると、全体が動くので、今の位置を正確に記録するのは結構難しそう。
ローターはカムに連動しているのですが、ケースが動いてしまうからです。

赤丸で囲った部分がちょうどシリンダ1の部分に相当します。(手前側バンクの場合)
なので、ローターがちょうどこの場所に来るようにケースを動かし、そこでマーキングしておきます。一番左に回しきった(スタッドボルトで止まるところ)がちょうどローターの真ん中がこの赤丸のマークを指しました。

(考察:このローターは右回りです。なのでデスビ全体が左一杯の状態は、最進角状態となります。なので、この位置で合っているという事は、これ以上、進角できないことを意味します。この時点でなんか変という事になります。)

Ferrari 308 デスビオーバーホール

ナット、ボルトを緩めてしまえば、あっけないほど簡単に抜けます。

そうそう、デスビ外す前に、イグニッションコイルからのラインを先に外しておくのをお忘れなく。

Ferrari 308 デスビオーバーホール

ありとあらゆるところにマークしておきます。後ろのネジを外しておきました。

Ferrari 308 デスビオーバーホール

こちらのマーキングはエンジンとの取り合い部分。ここに見えているネジも外します。上のネジは明らかにベアリングの入っているケーシングを止めていると思いますが、下のネジは不明・・・(開けた後に確認しましたが、何も固定していないように見えます。)

Ferrari 308 デスビオーバーホール

まずはこちらを外してみます。なぜかネジが2本しか留まってない・・・。

次に中のベアリングを外します。サークリップがあるので、それを外し、

Ferrari 308 デスビオーバーホール

小さ目のプーラーがありましたので、これで外しました。

Ferrari 308 デスビオーバーホール
Ferrari 308 デスビオーバーホール

これが抜いたベアリング。サイズは8x22x11。交換する予定です。(注記:こちらのベアリングの方がSuperformanceにありません。)

Ferrari 308 デスビオーバーホール

ベアリングを外すと中にはこれが見えます。マグネットのようです。これもサークリップで止まっていました。

Ferrari 308 デスビオーバーホール

どうやら、この部分がIGNITORを作動させるための磁石。これがずれると、点火タイミングが狂います。これ外して問題ないかどうか、悩みます。マーキング念のためしておきました。
念のためミューワンオートラボさんに問い合わせました。
単にカムにかぶっているだけなので、問題ないとのこと。確かに簡単に抜けます。抜くと、カムが出てきました。

Ferrari 308 デスビオーバーホール

上の部分がそのカム。真上から見ると四角いんですね。この写真はケースを引き抜いた後です。先ほどの黒いスリーブを外せば、抜けます。

これでやっと遠心進角装置が見えました。遠心力でこのカム全体が動くのですね。結果点火タイミングがずれるというわけ。下の部分が広がると、カム全体が時計回り、右回りに動くのがわかると思います。すると、ローターも右回転なので、IGNITORを作動させる磁石との関係が前進します。

フライホイールとデスビローターの関係ですが、フライホイール2回転に対し、デスビローターは1回転。なので、半分となります。フライホイール上での進角は6°から34°と28°変化するわけなので、このカムは14°動けば良いという事になりそうです。

また、内部が固着した場合、前進しなくなるので、途中で回転数が上がらなくなるという現象になるかと思います。

Ferrari 308 デスビオーバーホール

遠心進角をばらします。左右わかるようにマーキングしておきます。
スプリングサイズが微妙に異なります。長い方は同じに見えますが、短い方は明らかに違う。。。ですが、このデスビ。一度分解された可能性高いです。過去のマーキングが残っていましたので。
最初に長い方のバネで調整、どんどん回転数が上がると、徐々に短いバネでの調整がされる構造のようです。左右のバネが違っていても、結局両方の開く角度は同じになるはずです。短いのが数種類の方が、微調整できる・・・という感じでしょうか?

この状態で回してみると、なにやらゴロゴロ音がします。エンジン側のベアリングがどうも怪しそうです。

Ferrari 308 デスビオーバーホール

このベアリングを交換するには、プーラーで裏ブタを抜きます。この作業の前にシャフトのOリングとベアリングを止めているサークリップを外しておきます。

Ferrari 308 デスビオーバーホール

さて、こちらがエンジン側のベアリング。

Ferrari 308 デスビオーバーホール

裏返したところ。
3本のリベットで留まっているようです。

Ferrari 308 デスビオーバーホール

こちらで加締めてある様子。これを切っちゃえば良いわけですね。

Ferrari 308 デスビオーバーホール

食い切りがあったので、まずは頭を食い切りました。

その後はドレメルツールで頭を削り、ポンチでたたき出します。これでカバーは取れます。

Ferrari 308 デスビオーバーホール

カバーが取れたら、適当なサイズのソケットを使い、プーラで押し出しました。

Ferrari 308 デスビオーバーホール

外したベアリングのサイズは15X35X14。回してみると、やはり若干ゴロゴロ音がします。交換した方がよさそうです。
ですが、このサイズのベアリングはなかなかないです。Superformanceにもありません。(後記:こちらの方がSuperformanceにあります。コメント欄ご確認ください。)
いろんなブログを調べてみると、SKF 62202-2RS1を使った例がありました。でも、型番わかっても、買えるサイトはなかなかない。探していたらなぜかASKULにありました。(かなりお高い・・・)
ミスミにも同サイズ(HRBの62202-2RZ-H)はありましたが、ASKULの方が早く手に入りそうだったし、実績のある(ブログで挙がっていた)SKFだったので、安全を見てASKULを選択しました。
(後記:ASKULに注文したのですが、なんと在庫なし。なのにキャンセルも不可!ガンガン文句言ってキャンセルはできました。結局Ebayで購入。ですが、なんとSuperformanceで購入したベアリングがこちらのサイズでした。なので、1セット余ってます 汗)


デスビの取り付け位置(カムとローターの関係)ですが、厳密でなくても良いのではないかと思い始めました。早い話、上死点を超えて遅角にすることはありません。なので、そこをおおよその基準にしておけば良いかと。遅角一杯(この場合、デスビを最も左に回した状態)でローターがデスビケースのマークに合っているところと言うのはあながち間違いではなさそうです。結局、合わせる角度は最初の数度、大きくても10度ほど。この分デスビケースが回せれば調整可能という事かと。(実際寸法を測ってみると、15度ほど調整可能です。)

位相の調整ですが、点火はあくまでもIGNITORと磁石との関係で決まります。ローターと磁石はカムを通じて連動しています。位相調整はこのカム位置を変えない限り無理ですね。実際にはカム初期位置は固定ですので、調整不可という事です。なので、幅の広いローターを使った方が許容範囲は増えますね。

あと、遠心進角装置は、進角させる方向に働くので、これの動きが悪い場合は、高回転域で進角しないという問題が出るという事になります。今回の問題は、遅角によるくしゃみ、濃い燃調問題なので、単純に初期進角調整という事になるかと。

正直、あちこち動くので頭がこんがらがりますね。まぁ、今の車ではクランク角センサーでコンピュータ制御ですから、こんなこと考えなくても良いわけです(汗)

“デスビのオーバーホール” への2件の返信

  1. こんにちは、Nyaotaです。
    デスビのべアリングですが、今更になりますが、
    確かクランクスピゴットと同じです。(特殊だったので、型番をなんとなく記憶していました)
    私は、エンジンO/H時に日暮里あたりのSKF代理店から入手しました。(確か、いい値段だった気が・・)
    スーパフォでは、「Crankshaft Rear Spigot Bearing
    (308: All); (208: All); (288: GTO); (F40: All) 103877」と思います。

    1. どうもです。Superformanceの103877は買っていて、先日届きました。
      実はこちらが8X22X11だと思い込んでおりまして・・・。
      と言うわけで、今度は8X22X11の方を探して購入かけています。(Ebayで発見)
      SKFの代理店、私も見つけました。
      結構な値段なのと、送料もかなり高い、おまけに時間がかかるので、Ebayの方を待っています。

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